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タイトルなし

20060412180314
密輸と呼ばれる手段で裏のルートから入手され、水面下で日本全土に散らばっているといわれる拳銃の数は約3000丁。
その拳銃の約3分2が犯罪に使用される。殺し、脅迫、強盗など。親指の爪ほどの鉛の塊がいとも簡単に人の命を奪い去る。その引き金は命の重さに比べ予想以上にたやすくひけてしまう軽さでできている。
つりあわない天秤。その上で遊ぶ闇を支配する小さな悪魔。その黒くて小さな目に魅入られたものは全てを吸い込まれ丸裸にされる。何もできずただ立ち尽くし、今まで気付かなかった、あたりまえだと思っていた、自分は関係ないと思っていた、事…こと…コト、イチバンダイジナコト、を気付かされる。

ある人が言った。『気付くこと、それは思い出すということ、すなわち手遅れであるということ』と

退屈な日々が続けば誰もが刺激を求めはじめる。そんな時不意に送られて来た一つの小包。差出人の名前はない。不信に思う一方でなにかを期待している自分。

ある人がいった。『目に見えない恐怖心は目に見える好奇心に勝ることはない。ただ一度見えてしまった恐怖心は全てを飲み込む』と

この時はまだ見えていない。恐怖心が。感じているだけで。
静かに包みをあける。突如として目の前に表れる悪魔の遊具。不気味なほどの冷たさに鳥肌が立つ。体の中で目覚める微かな感情。それは徐々に大きくなってくる。速まる鼓動。血液が沸騰をはじめ、細胞が以上な速さで分裂を繰り返す。やがて思考回路が活動を停止する。
…気がつくと僕の指が引き金にかかっていた。この衝動を抑えられるはずがない。この後どうなるか全てわかっている。わかっているのに…。

ある人が言った。『後悔とは悔やむことを後回しにすることだ』と

後悔はもうすでに僕の後に立っている。それにも気付いている。ただ目の前のものに目を奪われているだけで。まだ恐怖は姿を表さない。震える指が微かに動く。一瞬の空白。乾いた音が鳴り響く。絨毯に広がる赤黒い液体。自分の靴下にも染み込んできて、その生暖かさにしばし酔いしれる。気がつくと首まで浸かっていた。息苦しさに我にかえる。もう目を背けられないくらい視界全てが赤く染まっている。
眠っていた恐怖が静かに姿を現す。
沸騰していた血液が凍り付き、一瞬にして世界が180°回転する。太陽の昇らない暗闇の世界。恐怖はゆっくりとまわりのものを飲み込みながら近づいてくる。全てはわかっていたことなのに…、とばからしいくらいおきまりの後悔にしがみつかれ身動きがとれない。
スタートの音が鳴った今もう後戻りはできない。ただ全てを抱えて進むには重すぎる。捨てられないキボウと手に入らないミライ。たった一瞬悪魔に魅入られたために訪れた、想像通りの結末。逃れようのない…。

ある人が言った『何かを手に入れる為には、何かを捨てなければならない。ただ手に入れる事よりも捨てる事の方が難しい』と

行き止まりの路地裏で乾いた音が鳴り響く。今日二回目の。流れでる液体は僕の体からでていた。「こんなはずじゃなかったのに…」と、自分自身に最後の嘘をつく。
退屈な毎日。何も変わらない。街はいつもどおり騒がしい。夜空に浮かぶ月が妙にキレイだ。冷たいコンクリートの上に横たわりながら微かに動く右手で握りこぶしをつくってみる。「もう終わりか…」。こんな時は昔の記憶や大事な人の顔が浮かぶと聞いたことがあった。ただ今の自分にはなにも…ない。不思議と涙が流れた。それを拭う力はもう残っていない。

ある人が言った『……………………退屈でもいい』と

日本全土に散らばる約3000丁の拳銃。今日も誰かを誘い込んでいく。壊れた天秤の上に。
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さて、授業を始めます。卒業生を送ってからずっと寂い思いをしていた。なにか居場所のない思いがしていた・・・・

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